Core's Blog

何か、いろいろ書く。

ノートPCのCPU換装の、個人的な注意点を書いていく。

何度かこのブログでノートPCのCPU換装記事を出したのですが、その記事のアクセスが意外と多いことに気付いた。

ノートPCのCPU換装はデスクトップのような感覚で行うとコケる可能性があるので、注意点を書いていきたいと思います。

 

目次

本的に、推奨はしていない。

メーカーももちろんですが、筆者としてもノートPCのCPU換装はおすすめしていません。メーカー保証云々という話よりは、費用対効果が薄い、換装可能なPCはかなり古い等手間に対して効果が得られないケース。そして難易度がやや高く、動作する保証が全くないからです。さらに、ほとんどの場合はノートPCのCPUはバルク品なので、それも含めて動くかどうかがわからず、不確定な要素が多すぎます。どうしてもそのPCでなければいけない、今の性能なら要らないけどスペックアップに成功したら使いたい、実験台等の理由でない限りは普通に新しいノートPCを買うか、中古でもSkylake世代以降のノートを買った方が良いです。Windows10のサポート期限も明確になったので、今からなら第8世代以降のPCを狙った方が長く使えるかと思います。

 

CPU換装の前に、SSDにしよう。

ここ15年くらいのPCでボトルネックになっているのは、まず間違いなくHDDです。これは、Celeronを搭載したPCであってもです。現在動かしているPCがHDDである場合、CPU換装なんかよりもSSD化した方が体感でかなり変わると思います。筆者のおすすめとしては

SSD化→RAM増設(デュアルチャネル、つまり2枚挿にしましょう)→ここまで来てダメならCPU換装

といった感じです。

メモリは8GBは欲しいです。4GB以下の場合は増設をお勧めします。

 

ず、CPUの型番末尾を確認。

現在使っているノートPCのCPUの型番を調べます。CPUが換装可能か、ふるいにかけるための作業です。この作業をしないと、CPUが選べません。

Core iシリーズを、使っている場合。

例えば、Core i5 4200Mという感じで、型番が書いてあるかと思います。(色付けは後の説明で使うため)

Core

ここはどうでもいい。Core iシリーズ使ってれば全部同じです。

 

i5

グレードを表します。後述しますが、i3→i5とか、i5→i5に換装するというケースは性能向上があまり見込めないので、おすすめしません。

 

4200

ここは重要です。まず、型番が4桁かつ上一桁(例の4200の場合は4のこと)が5以上である場合、CPU換装は不可能です。つまり、第5世代(Broadwell)以降のCPUは換装が確実にできません。これは、第5世代のモバイルCore i以降はBGAソケットという基板に直付けされているタイプのCPUしか流通していないためです。余程の技術者でない限りは不可能です。例を挙げるとすれば、i3 6100Uとか、i5 5200Uとかは換装不可。

逆に、上一桁が4以下である場合は換装できる可能性があります。 "可能性があります" というのは、実はまだこの時点では確定しない型番の物があるためです。

ただし、上一桁が4以下でも、上2桁が12から始まるものは換装できません。例えば、i5 1250Pとかです。この場合は世代が新しいため全てBGAソケットです。

型番が3桁である場合は換装できる可能性があります。

5桁の場合は換装不可です。例えば、i5 11300Hとかです。

また、4桁+G+数字で構成されているものも換装できません。例えばi5 1155G7とかです。5桁やGが含まれるCPUは比較的新しいため、全てBGAソケットになっています。

 

 

M

モバイル向けCore iシリーズには、3~4桁の型番の後ろにアルファベットが付いています。換装可能である、第4世代以前にみられるパターンのみ紹介します。型番の数字が3桁のものはその前にアルファベットがついている場合がありますが、意味は同じです。(例 : Core i5 M520)

M→3, 4世代は確実に換装可。1, 2世代はさらに調べる必要あり。(例:i5 4200M)

LM→やや低電圧の意。換装不可。(例:i7 640LM)

UM→低電圧の意。換装不可。(例:i7 640UM)

U→低電圧の意。換装不可。(例:i5 4200U)

Y→超低電圧の意。換装不可。(例:i3 3229Y)

QM→換装可だが、これ以上の性能向上はあまり見込めない。(例:i7 2670QM)

MQ→換装可だが、これ以上(ry (例:i7 4700MQ)

つまり、M, QM, MQの場合のみ換装可能です。ただし、Sandy以前はMでも換装できないものが存在します。

 

第3, 4世代はこれで区別がつきますが、Nehalem, Sandy世代はさらに調べる必要があります。

 

ケットを、調べる。

ぶっちゃけ、どの世代でもCPU型番というか、上の規則を覚えていない限りはこれが手っ取り早いです。

CPU-Z等の、ソケットを確認できるソフトをインストールします。

CPU-Zの場合、CPUタブのPackageで確認します。ここに

BGAという表記がある場合は直付けタイプなので換装不可です。

PGAという表記がある場合は、換装可能です。

 

Celeron、Pentiumの場合。

Cel, Penの場合はどの世代でもBGAPGAで分かりやすく分かれているため、ふるいがけが楽です。

Nehalemの場合

型番にPが含まれる場合は換装

型番にUが含まれる場合は換装不可

 

Sandy Bridgeの場合

型番にBが含まれる場合は換装

型番が数字のみの場合は換装不可

 

Ivy Bridge, Haswellの場合

型番にMが含まれる場合は換装

型番にU, Yが含まれる場合は換装不可

 

簡単に言えば、世代がわからなくても型番にPかBかMが含まれていればそいつは換装可能で、世代も上に当てはめていけばわかります。IvyとHaswellの区別ですが、これは型番から割ろうとすると少々ややこしいです。が、HaswellのM型番のCelとPenは

Celeron 2950M, 2970M

Pentium 3560M, 3550M

の4つしかありません。それ以外のM型番はすべてIvyです。

 

ここまでの工程で、CPU換装が可能だという場合は次へ進みます。

が...

 

 

Nehalem世代以前は、やめた方がいい。

「安く性能向上を見込みたい」とか、実用前提で考えているのであれば特にやめた方が良いです。遊びや実験目的だとしても推奨しません。

まず、Core 2 Duo世代以前ですが、こいつらはほぼすべて物理的に換装可能な反面、BIOSが認識しない等のトラブルを起こす確率が高い世代です。また、換装したところで性能向上があまり見込めない、それ以前に古すぎるのでおもちゃ枠だとしても推奨しないレベルです。それに加え、Cel, Pen以外動かないケチなチップセットがあるため、そもそもC2DやC2Qへの換装が不可能である可能性があります。

Nehalemですが、これもやはり古い上に、第1世代のCore iは全グレード通してそこまで性能が高くないので、換装する意味があまりない世代です。実験台枠ならいいかな程度なので、実用性重視ならPCを買い替えるか、SSD化をおすすめします。

ただし、先述のC2D世代のような、チップセットによる制約はありません。

 

Sandy, Ivyも推奨はしない。

この世代も実用性を考えると貧弱なため、お勧めはしません。ただし、QM系が安く流通しているケースがあり、電力効率を考えなければ使える性能は持っている世代でもあるので、安く済ませたいなら選択肢的にはアリです。

ただし、IntelからのWin10のサポートがない、つまりドライバ配布がないのと、HM70 ExpressというCel, Pen専用のダメチップがそれなり割合で流通しています。換装する前にチップセットがHM70でないことを調べておく必要があります。

一応筆者もHM70を使ったことがあり、Core iを載せてみたのですが、30分おきに強制的に電源が落ちます。また、TBが使えないという機能的な制約が発生する事例もあるようなので、HM70 Expressが搭載されている場合は換装はPentiumまでです。が、Cel→Penだと性能向上があまり見込めないので、そのまま使うか買い替えるのが良いかと思います。

 

すすめは、Haswell。

一応書いておくと、「お勧めしない中での、強いて言えばのおすすめ」です。他の世代よりもお勧めできる理由はいくつかあるのですが、

  • チップセットによる制約がない
  • M型番は確実に換装できる(M型番BGAソケットの製品がない)
  • TDPがほぼ一定
  • IntelがWin10サポートをしている

という感じです。Intelによるサポートを受けられる最古の世代かつ、CPU換装が可能な最新の世代であるため、実用的な面でも、実験台でも不安要素の少ないHaswellは他の世代よりも圧倒的に魅力的です。性能的にもMQ系であれば最新のモバイル向けCore i3辺りならギリギリ張り合える性能を持っているCPUもあります。ただしグラフィック性能は現行の内蔵GPUに大きく劣ります。それでもIvy以前よりはマシなので、交換するならばHaswellをお勧めします。

 

装したいCPUを、大雑把に探す。

先ほども書きましたが、基本的にモバイル向けCPUはバルク品メインなのでピンポイントで「これがいい!」というCPUは引き当てにくいです。ピンポイントの型番で絞るよりは、どの辺がいいという大雑把な検討を立てておくと良いと思います。そしてCPU選びでも注意点があるので、書いていきます。

 

世代は、互換性がない。

Sandy~Ivy辺りはPGA988という共通のソケットを使用しているため、物理的な互換性があります。しかし、チップセット等が異なるため動作については互換性がありません。必ず、同世代間で換装します。Ivy世代のPCにSandyのCPUを載せたら動いた、なんてことはあるらしいですが、それも含めて非推奨です。

PPGA988やrPGA988といった表記がありますが、世代が共通であれば無視して構いません。表記が別な以上何かしら違いはあると思われますが、筆者の扱ったPCではこれを無視しても動作しています。

 

TDPを、気にする。

ノートPCはデスクトップPCと違い、電源設計がかなりギリギリで作られていることが多いです。つまり、Cel→i7みたいに大幅に性能向上をさせると消費電力が増えるため、起動しなかったりTBが使えなかったり、本来の性能を発揮できなくて換装した意味が無かったりというケースに陥る可能性があります。換装したいCPUのTDPを調べ、現在使っているものと同じであれば大抵の場合は動きます。
一概には言えませんが、CPUのTDP+20W程度最低でもあれば動くかと思います。

 

ートPCの、スペック表を見ておく。

まともな企業の出しているPCであれば、型番で検索をかければ出てきます。これで何を調べるかというと、このPCの他のラインナップや消費電力辺り。

例えば現在手元にあるPCはCelだが、公式の上位ラインナップでCore iシリーズがある、という場合は換装しても動作する可能性が高くなります。逆に上位モデルでもPenとかの場合はやや低くなります。

消費電力は、上記のTDPの話。

後は、Sandy世代の場合はチップセットも調べておきます。HM70 Expressという文字が見えたら諦めてください。チップセットは、先ほどチラッと紹介したCPU-Zでも確認できます。

 

却性能を、考える。

これはかなりアバウトになってしましますが、一番気にするべき箇所かもしれません。公式でCore i5までのモデルの場合は、QMやMQシリーズへの換装は慎重になった方が良いです。

上記のようなモデルでも冷却機構に余裕があるモデルもあるので、チャレンジしてみたい方は。

 

きれば、クアッドコアを狙いたい。

現在積んでいるCPUがCore i3やi5、i7のM型番である場合は全て2C4Tであるため、i3→i5とかi5→i7 M型番は正直あまり意味がありません。i3→i7 Mとかは若干の性能向上は見込めるものの、現行のPCに比べたら差は微々たるものなので、費用や手間を考えると割に合わない、というのが筆者の考えです。狙うべきはCelまたはPenが搭載されているPCならCore i3やi5。i5やi3が載っている場合はi7のQMまたはMQを狙います。ただし、先述の冷却性能やTDPを考慮して、いけそうであればの話です。

i7 4700MQであれば現行のi3のちょい下くらいはあるので、実用的なのはこの辺。

Cel, Pen→Core i3であれば換装後も性能は現行と比べると劣るものの、体感差はあると思います。

Cel, PenならCore i3, Core i5

既にCore iならi7 QMまたはMQ

が体感差が得られるラインだと考えています。

 

因みにi7のM型番(i7 4600M等)への換装はお勧めしません。こいつらは2C4Tでi3やi5とコア/スレッド数が変わらない上に、無駄に高いです。Core i5辺りは比較的安価で片付くのに対してi7 Mはi5の倍以上の価格で売られていることが多いです。確かにi5よりも性能は高いものの、倍の金額を出してまで買うほどのものでもありません。

逆におすすめはCore i7 4702MQ, 4712MQです。他のMQシリーズがTDP47Wなのに対して、この2モデルだけは何故か37Wと、ほかのi3やi5と同じです。性能は他のMQとほぼ同じで、特に4702MQは流通数も多いので狙いやすいです。TDPは同じでも、4コアに変わりはありませんので、消費電力や発熱は増えると考えるのがベターです。

 

ートPCを、分解しておく。

CPUを買ってもノートPCが分解できないとか、分解過程で壊れたとかだと意味がないので、購入前に一度分解しておくことをお勧めします。主に海外ブランドPCを筆頭に、分解過程で星形ネジが必要になるケースもあるのでその確認も込めて事前に分解を推奨です。

また、これも海外メーカー筆頭にですが、ほぼ完全に分解しないとCPU換装できないケースもあるので、分解方法の情報が少ないPCや、前例はあるが難易度の高いPCは苦戦する可能性が高いです。

 

筆者が換装したノートで、難しい順に並べていくと

ProBook 4730s

ProBook 4530s

ProBook 470G1

ProBook 650 G1

VersaPro VK25LX-J

ほぼProBookですが。ProBookは650G1を除き、かなり深いところまで分解しないとCPU換装できません。また、星形ネジが必要になります。650G1だけは、何故か背面ふたを外して冷却機構を外すだけでCPU換装可能です。

NECのノートはほぼすべてのモデルで背面のフタを開けてファンとヒートパイプを外せばCPU換装が可能な構造であるため、かなり楽です。注意点としてはHaswell世代のVersaProはよくキーボードが壊れること、筆者がVersaProにi7 4702MQを載せたら温度管理が不調を生じてファンがうるさくなったこと。

 

装時に、気を付けること。

まず、ノート用のPGAなCPUは全てピンが生えているので折らないように慎重に作業をします。

同世代の別のPCがあるのであれば別ですが、万が一動かなかった場合の原因の切り分けがかなり難しくなります。単に電力不足なのか、BIOSが対応していないのか、CPUが壊れているのか...。この切り分けができず、最悪ドブ覚悟で挑むことになります。CPU換装を推奨しないのはこの辺の理由です。難易度が高いというのは、作業難易度だけではなく、トラブルシューティングが難しいという話です。

 

応、筆者の事例を書いておく。

ProBook 4530s

公式ラインナップ最大:Core i5 2430M(2C4T)

チップセット:HM65 Express

消費電力:65W

換装前:Celeron B840(2C2T)

換装後:Core i5 2520M(2C4T), Core i7 2670QM(4C8T)

トラブル:i5, i7共にTB時のクロックが設計最大まで出ない。

 

ProBook 4730s

公式ラインナップ最大:Core i5 2430M(2C4T)

チップセット:HM65 Express

消費電力:90W

換装前:Celeron B810(2C2T)

換装後:Core i5 2520M(2C4T), Core i7 2670QM(4C8T)

トラブル:特になし。強いて言えば分解がかなり面倒。

 

LIFEBOOK A512/FX

公式ラインナップ最大:Celeron B730(1C2T)

チップセット:HM70 Express(Core i搭載不可のポンコツ)

消費電力:65W

換装前:Celeron B730(1C2T)

換装後:Core i5 2520M(2C4T)

トラブル:HM70なので、30分毎に強制終了。以外にも、その他は問題なし。

 

ProBook 470 G1

公式ラインナップ最大:Core i7 4702MQ(4C8T)

チップセット:HM87 Express

消費電力:90W

換装前:Core i3 4000M(2C4T)

換装後:Core i7 4610M(2C4T), Core i7 4702MQ(4C8T)

トラブル:特になし

 

ProBook 650 G1

公式ラインナップ最大:Core i7 4610M(2C4T)

チップセット:HM87 Express

消費電力:65W

換装前:Core i7 4610M(2C4T)

換装後:Core i7 4702MQ(4C8T)

トラブル:特になし

個人的には、650G1は手間のかからなさや実用性を考えるとおススメ。

 

VersaPro VK25LX-J

公式ラインナップ最大:Core i3 4100M(2C4T)

チップセット:HM86 Express

消費電力:65W

換装前:i3 4100M(2C4T)

換装後:i7 4702MQ(4C8T)

トラブル:機能に問題はないものの、温度管理がおかしい。上位モデルがi3なのにi7 MQを載せたので不調を生じた例。