この記事のきっかけはiPhone13の有機ELを見て「きったねーな」と思ったこと。
こんな出来の悪いパネル売りつけてLGとSamsungは恥ずかしくないのかと思うレベル。
初日でわかる、ケチさ。
筆者はMi9、XZ3、iPhone13と有機EL端末を触ってきたのですが、その全てに共通することとして、届いた初日に「有機ELってしょぼいな」と感じてきました。この感想は半分当たっている一方で厳密には誤解があります。
サブピクセル配列が、悪い。
ペンタイル、存在価値皆無。
普通に使用する距離でもすぐわかる画面の荒さ。この点については有機EL云々というよりは、サブピクセル配列にダイヤモンドペンタイルを採用しているのが最大の原因だと考えています。
普通のRGBストライプはRGBというサブピクセルを1ピクセル(1セット)と考えます。大抵の液晶パネルはこれを採用しています。
一方で、多くの有機ELパネルで採用されているのはRGBGというダイヤモンドペンタイルです。一見Gが1つ多い分高解像度に見えるのですが、これがペンタイル配列の罠です。理解不能な理論なのですが、実はRGで1ピクセル、BGで1ピクセルとカウントするためRGBGは2ピクセル扱いとなります。つまり、1ピクセルのみでは成立しないのです。配列がRGBストライプのようにきれいに並んでいる訳ではなくGが下に若干ズレています。ストライプとは違って隣接するサブピクセルを柔軟に使って発色するので単純な比較はできませんが、ピクセル数で考えれば基準次第でRGBストライプの50~60%しかないことになります。
実は、ピクセル数は11と大差ない。
11はIPS方式の液晶でRGBストライプを採用しており、解像度は828x1792
13は有機ELでダイヤモンドペンタイルを採用しており、解像度は1170x2532
比較すると数値上は13の方が解像度は高いのは一目瞭然ですが、実は上の理論で計算し直すと話が変わってきます。
まず、11のピクセル数は
828*1792=1,483,776
60%で計算してみると
1170*2532*0.6=1,777,464
割と差がないことがわかります。
50%で計算すると
1170*2532*0.5=1,481,220
11の方が高いことになります。
何故、こんなのが出来上がったか。
技術不足。実はHD画質でOLEDなRGBストライプなパネルが出回ったことはありますが、FHD以上はほとんどペンタイルです。で、人の目は緑により敏感という特性があるので緑を増やして配列を弄った感じ。ここまでは百譲っていいとして、問題はピクセルの数え方。RGBGで1ピクセルとしておけば良かったのに、技術不足ごまかしついでに消費者を騙す方面に走って、あたかも高解像度かのようにして売りつける。技術不足な上に詐欺、しかも汚いのがバレバレって、やってて恥ずかしくないんですかね。
しかも、発色が悪い。
ストライプのようにきれいに並んでいないので、ボソボソとした表示になります。また、色をのせても若干黒っぽさが混じり、濁った印象を受けます。これは今まで触った有機EL端末全てに共通して感じたことです。
メリットも、ある。
先程存在価値皆無とか書きましたが、実はメリットも存在します。低コスト低消費電力です。ただ、これはピクセル数をケチっていることに起因するので、正直メリットとして扱えるのか微妙。また、GalaxyやiPhone用のパネルはこれでも$100とかするらしいです。
有機EL自体も、問題。
焼きつきは、故障。
筆者が有機ELと言われて真っ先に思いつくのは焼きつきです。一応焼きつきの原理を簡単に書くと、有機ELは液晶と違い、画素自体が光っているので発光時間が長くなると劣化して輝度が落ちます。表示するコンテンツによって劣化具合に偏りが出てくるので発色に異常をきたすのが焼きつく理由です。つまり、ダイオードの故障です。焼きつき=ぶっ壊れてる状態なのです。
液晶もVAとかIPSだと稀に焼きつきますが、こいつらは原理が違います。一時的にパネルに静電気が帯電することによって起きるものなので、電源消してほっとけばほとんどの場合は直ります。液晶の焼きつきが可逆的なのに対して、有機ELは不可逆的なものになります。
輝度が、低い。
コントラスト比はHDRコンテンツ再生時になかなか役立っているようですが、一方で輝度が低いのはネックです。徐々にマシになってきてはいるものの、HDRを今後推していくのであれば有機ELという選択はないなという感じがします。
実は、スマホの有機ELについては賛成。
散々に叩きましたが、筆者の立場としてはスマホでの有機ELについては賛成寄りです。正直に言えば液晶を残して欲しい、荒く見えるのは嫌だというのはあるものの、それ以外の点については有機ELは適任といえます。
有機ELはバックライトを必要としない構造上、液晶よりも薄く設計することができます。これはスペースが限られているスマホにおいては大きく貢献する箇所と言えます。
また、先述の通りペンタイルはケチっている分省電力です。ダークモード対応コンテンツが増えてきた現在であれば劣化についてもそこまで神経質にならなくて良いと思います。さらに、スマホはリチウムイオンバッテリー筆頭に消耗品の類であるので、3年使えば十分、偏った使い方をしなければ流石の有機ELでも露骨に劣化はしないと思います。
一方で、テレビは反対。
4Kや8K、HDRコンテンツに移行するのであれば有機ELは邪魔です。テレビにおいて有機ELが実力を発揮できるのはコントラスト比程度で、その他については液晶の方が有利です。先述したとおり、有機ELには輝度が低いというデメリットがあります。HDRコンテンツにおいて輝度は重要です。コントラスト比も重要ですが、これについては液晶でもミニLEDといった技術で十分対抗できます。
また、製造コストがかかるのでデカくしたり高解像度化すると価格が跳ね上がると言う問題も抱えています。液晶でもデカくすればコストはかかりますが、有機ELよりはよほど安価です。
安価なモデルは4Kの液晶、高価なのは8KのミニLED液晶、これで十分です。
極端な薄型化や省電力化を必要としない以上、有機ELのメリットを必要とする場面はそこまでありません。
タブレットは、やめてほしい。
先日次期iPad Airの有機ELの開発が破綻したという噂を聞いて安堵していたところです。ここ最近はiPad Airの技術はiPad miniに流される傾向にあるので、そこで倒れてくれればiPad miniに流れてくる可能性も低くなります。
タブレットにおいて反対である理由は、映像視聴用としての需要があるためです。タブレットも携帯型の端末ではあるものの、バッテリーは大容量化しやすく、省電力性や省スペース性についてはそこまで重要ではないので、有機ELにする必要がありません。タブレットに何か表示しながら作業、というのもありえるので焼きつきのリスクがある有機ELは不向きです。
関係ない話。家電量販店で有機ELと液晶テレビが並べられていて「比較コーナー!」みたいなのがあったのですが、液晶側の方が極端に劣化していたのか、意図的に設定をいじられていたのか知りませんが発色悪いというか異常でした。こういうセコいことしてまで売らせたいんですかね。この件については有機EL云々よりもその店に対する個人的評価が落ちただけですが。