HDL2-AAX0/EをSSDで使おうと思ったけど、未遂に終わった。
しょうもない筆者がしょうもない内容でお送りいたします。
さて、昨年末頃に筆者は2.5GbE化を進め、デスクトップPC(LANカードで対応)、ノートPC(USBアダプタで対応)、ハブ、NAS、ルーターを2.5GbE対応のものにしました。その中のNASですが、I-O DATAのHDL2-AAX0/Eというものを購入、中にHDDをぶち込んでしばらくは使用していたのですが。以前使用していたTeraStationよりも筐体が貧弱なこともあり、HDDの音がダダ洩れでうるさい。夜は電源を切っていました。最終的には面倒になって使わなくなり、ついにはコンセントも抜かれてホコリを被った状態に。
そんな中、家の整理をしていたらSSDを発掘。これ使えるんじゃね、ということでNASをSSDにして転送速度も騒音も発熱も一気に解決しようとしたわけです。
タイトルに未遂と書いている時点でこれをやる人は居ないとは思いますが、もしやるなら自己責任でお願いします。
一応、説明書を確認する。
公式で「SSDでも使えるよ」なんて書いてあった時には記事のネタとしては面白くないので対応するディスクを一応確認しておきます。
■ 同じ容量の3.5インチ SATA HDD 2台
~(中略)~
用意するドライブの条件
ドライブ:3.5 インチ SATA ドライブ
容 量:1TB以上(2台とも同じ容量であること)
引用元
https://www.iodata.jp/lib/manual/pdf2/hdl2-aax0_e_manu.pdf
一方筆者が用意したのは
ドライブ:2.5インチ SATA ドライブ(?)
容 量:500GB (同じ容量以前にそもそも1台)
見事にSATAという部分しか合っていない。もはや問題外なのか「SSDは使うな」という表記すらありません。これは楽しみです。
選ばれたのは、MX500でした。
2.5インチSATAの定番SSDなので特に説明は入れません。500GB。
早速、やる。
SSDを、ぶち込む。
HDL2-AAX2/Eに閉じ込められていた先客のUltrastar2台を引き抜きます。3.5インチ専用のものにどうやって2.5インチのSSDを接続するかというと、そのまま突き刺します。3.5インチへの変換マウンタなんて数百円で買えますが、出費が惜しいというよりも面倒だったので直刺しして完了。物理駆動するわけでもなし、重量がそこまであるわけでもなし。UltrastarをNASのマウンタから取り外す手間も省けてお得です。
ファームを、DLする。
公式からファームウェアをダウンロードしてきます。ご丁寧にS/NがないとDLできない仕様なので注意。購入からたった3カ月半しか経っていないのでファームウェアバージョンは変わっていませんでしたが、一応DLしなおしました。
USBに、入れる。
先程のリンクのPDFには "弊社製 USBメモリー" という指定がありますが、筆者はELECOMの16GBのUSBメモリでいけました。よくあるメーカー側の保険なので無視っても問題はないと思います。
DLしたものを解凍してfirmware.tgzとfirmware.tgz.sigの両方をUSBメモリ直下に置きます。
ファームウェアを、インストールする。
NASのUSBポート1 (フロントポート) にUSBメモリを接続し、起動。
早速、問題が起きました。本体のPOWERランプが赤点滅でブザーが鳴り続けるというわかりやすいエラーサイン。電源を落とさないとブザーが止まらないので一度電源を切り、USBメモリをPCに戻します。中のtxtファイルを確認したところ
SATAD2 not found.
###### ERROR ######
ERR_SATAD_NOT_FOUND
Internal disk(s) not found.
ということで「2ドライブモデルなのに2本ねーじゃん!」というツッコミが入りました。後述しますが、どうやらこのモデルはディスク1本で動かすことができないようです。
また選ばれたのは、MX500でした。
MX500もう1個ないかなーと家を探し回った結果、デスクトップPCから発掘。大したデータも入っていないのでHDDにさっさと移動させてMX500をもう1台確保。
これにより
ドライブ:2.5インチ SATA ドライブ(?)
容 量:500GB (2台とも同じ容量)
となり、新たに2台という部分と同容量という条件をクリアしました。
もちろん2台目のSSDも直刺しします。
改めて、ファームウェアを入れる。
先程と手順は変わりません。今度はPOWERランプが橙点滅という説明書にない挙動をしましたが、どうやらインストールはできたらしい。
ログを見てもツッコミどころは
###### check internal HDD size ######
OK
程度のものでエラーはありませんでした。500GBでいいんかい。
早速、起動。
特にHDD比初期起動が速いとかはなく、ゆっくり。筆者が2.5Gハブの電源を入れ忘れていたので、IP取得できないとNASに文句を言われた以外は問題なく起動。以前初期設定したときはLAN DISK CONNECTがサボって使い物にならなかったのですが、今回はいけました。何が違ったのか未だにわかりません。使える分には問題がないので、ささっと初期設定をします。
500GBのSSDの2枚刺しなのに何故か容量が494GBになっていますが、それ以外は気になるところもなく。これの原因は後述します。
SSD化で設定画面のロード速度が改善されるかと思いきや、相変わらずHDDと同じくらい遅い。本当にSSDかこれ。
またしても、問題が起きる。
500GBのSSDの2枚刺しでも使えた!記事のネタになる!と喜んでいたのもつかの間、データの転送速度を見ようと思いNASにファイルをドラッグアンドドロップ。PC側から「ネットワークエラー」と言われ、転送に失敗。リトライするも今度は何も出ずにフリーズ。疑問に思いながらLANケーブルを抜いたところPCは氷が解けたように動き出したものの、NAS側に全くアクセスできなくなりました。設定画面にも入れなくなり、NASの電源ボタンを長押しするも反応なし。このNAS、フリーズすると完全に制御が聞かなくなるようで、仕方なく電源プラグを抜き、再起動。今度は使えましたが、どうも怪しい動きをします。
データを、送ってみる。
気を取り直して。環境は2.5GbEで、拡張ボリュームになっています。
MP4の3GB程度のデータをやり取りしてみました。
NVMeのSSDから送ってみた結果。
100MB/s ≒ 0.78Gb/sです。HDD型のNASとしては標準程度だと思いますが、SSDにしては、というよりHDDよりも遅いです。
180MB/s ≒ 1.4Gb/sです。1Gbは超えましたが、一般的なSATA HDDを直接繋げた時より少し速い程度でしょうか。
RAID0に、してみる。
「後述します」と後回しにしていたものをここで回収します。
筆者は今日まで勘違いしていたのですが、このHDL2-AAX0/Eは完全に2ドライブ専用らしいです。どういうことかというと、例えば以前筆者が使用していたTeraStation TS3200DはHDD 1台でも1ドライブのNASとして動作させることができました。また、RAIDを使用しないことで2つのディスクを別々に動作させることができ、disk1とdisk2でデータを分けることができました。ところがHDL2-AAX0/Eの方はというと、動作モードに
・拡張ボリューム (初期ではこれ)
・RAID0
・RAID1
という3つの選択肢があるのですが、これらは全て2台のHDDをまとめて使うことが大前提となっています。RAID0はストライピングでRAID1はミラーリング。
では拡張ボリュームとはなんぞというと、I-Oが自称独自開発した動作モードらしいです。大きくはRAID1の様な動作をするのですが、データの読み込みを片方のドライブに専念させ、もう片方はバックアップに専念させることであえてディスクの負荷を一方に偏らせ、耐障害性を向上させるもののようです。当然ディスクが2台以上必要なので、先程の3択のうちいずれも1本では動かすことができず、筆者が最初にケチってSSDを1台しか入れなかったときはエラーになったのだと考えられます。
また、容量が1台分しか表記されなかったのも拡張ボリュームがRAID1のような動作をするためだとわかります。
筆者はてっきり2台を別々のディスクとして使用できると思っていたのですが、I-Oはそうはさせてくれないようです。
話を戻して、思うように転送速度が出なかったのと、NASに入れるデータはそもそもバックアップしてあるのでRAID0にして動かしてみます。
で、またも問題が起きます。RAID0でフォーマットし直したところエラーでマウントできず。
RAIDの状態 正常動作とは。RAIDは正常だけどマウントできないのでしょうか。よくわからん。リトライしたらすんなりいけましたが、いちいち動作が安定しない。
まさかの、結果。
ここにきて衝撃の結果が。
NVMeのSSDから送ってみた結果。
160MB/s ≒ 1.25Gb/sです。
170MB/s ≒ 1.3Gb/sです。
遅い。
PC→NASの速度は速くなった一方で、NAS→PCは拡張ボリューム時より落ちています。拡張ボリューム時は転送速度がかなり安定していた一方で、RAID0では転送速度が安定しませんでした。
HDDでRAID0使用時はPC→NASが120MB/s程度なのでここは速くなっています。が、NAS→PCの場合は2.5Gb/sの規格値近辺まで出ていたのでむしろ大幅に遅くなっています。
メリットが、ない。
速度がウリのSSDでHDD並みの速度しか出ない、しかもRAID0ではHDDの方が速いというかなりもったいない使い方になります。当然NASは即HDDに戻し、また電源を切ってホコリの雨に当たっているところです。静音性についてはいい感じでしたが、元からNASのファンがうるさいのでこうなると2.5インチHDDとかで良くなります。一応SSDでも動作はするもののやや不安定で、転送速度がでません。少なくとも、HDL2-AAX0/EをSSD化するメリットはありません。
MX500にせっせとデータを戻しながらこの記事を投稿することにしましょう。